サラ系の子孫は滅亡寸前 (1) バウアーストツク系
オーストラリア供用種牡馬の血統を少しずつ調べてますが、同じ作業の繰り返しはどうしても飽きてしまうので、気分転換に牝系について調べていました。
興味を引いたのは、ファミリーナンバーの振られていない、所謂「サラ系」のライン。
Wikipediaの「サラブレッド系種」の項に詳しいですが、19世紀末〜20世紀初頭に輸入された血統不明の牝馬を祖とするラインのいくつかは大きく発展し、八大競走の勝ち馬も複数出ました。
しかし21世紀の現在、生き残っている系統は極僅か。というか殆ど滅亡しかかっています。現役の競走馬、繁殖牝馬のいる系統は、おそらく「ミラ系」「バイカ系」「バウアーストツク系」の3つだけ。
これら系統の今を、3回に分けて載せていこうと思います。まずはバウアーストツク系から。
【バウアーストツク(バウアーストック)】
1922年生まれ(資料によっては1923年ともされる)、オーストラリアから輸入。本当は8-e族に遡る正真正銘のサラブレッドらしいが、血統不詳のサラ系として扱われた。
主な子孫に、キタノオー(菊花賞、天皇賞・春)、キタノオーザ(菊花賞)、アイテイオー(オークス)、ヒカリデュール(有馬記念)、キョウワサンダー(エリザベス女王杯)。
■牝系図(現役馬に繋がる分のみ)
バウアーストツク 1922
バウアーヌソル 1938
|キタノヒカリ 1954
| アイテイオー 1960
| |アイテイグレース 1967
| | サニーフィールド 1981
| | キリサニー 1987
| | キリビジン 1992 → コスモハンサム 2008(牡、地方6勝)
| |アイテイマウタ 1970
| シロキタパーク 1977
| イコマパーク 1984
| ローズサーカス 1999 → クリノホテイソン 2011(牡、地方1勝)、キョウエイカオリ 2012(牝、地方未勝利)
|キタノクイン 1958
タカラウイン 1967
キヌウラローズ 1980
キリチャペル 1987
|キリシスター 1996
|キリカツヒメ 1997
現役競走馬:3頭
現役繁殖牝馬:2頭(キリシスター、キリカツヒメ)
繁殖牝馬は2頭いますが、どちらも過去に産駒が1頭も競走馬登録されておらず、おそらく何か別の目的で供されているのだと思われます。そうなるとラインを繋ぐ可能性がある牝馬は現役のキョウエイカオリただ1頭ですが、現在未勝利、かつ昨年2月以来出走なし。まさに滅亡寸前。
こう言ってしまうと身も蓋もないですが、牝系が途絶えるなんてそう珍しいことではなく、サラ系というのは希少ではあっても貴重ではない(むしろ冷遇されていた)わけだから、何も驚くようなことはないのかもしれません。しかしそれでも、昭和の競馬史に名を残した一族がこうしてひっそりと消えていくことに、複雑な感情を抱かずにはいられないわけです。
と、こんな感じでミラ系とバイカ系の生き残りも調べていこうと思います。(続く)