KTF(旧)

オーストラリア生まれの Keep The Faith (※引退)など、海外で走るサンデーサイレンス産駒の情報を記録していました。

サラ系の子孫は滅亡寸前 (3) ミラ系

全3回の突発企画、最後を飾るのは真打のミラ系。「サラ系」の象徴ともいうべき一族です。


【ミラ】
1895年生まれ、オーストラリアから輸入。自身も横浜ダービーやジャパンセントレジャーといった当時の大レースを制した一級の競走馬だったが、産駒の第二ミラ・第三ミラを通してその血脈は大いに発展し、国内有数の牝系となった。第二ミラの子孫にはワカタカ(東京優駿)、第三ミラの子孫にはシーエース(桜花賞)、ヒカルイマイ皐月賞東京優駿)、ランドプリンス皐月賞)がいる。約100年の歴史で、繁殖入りした牝馬は確認できただけでも400頭を超えており、これはバウアーストツク系やバイカ系の約3倍の規模となる。しかし、時代を経るにつれ徐々に活躍馬は少なくなり、JRAの重賞勝利は1991年の福島記念ヤグラステラ)が最後となっている。


■牝系図(現役馬に繋がる分のみ)


ミラ 1895
 第三ミラ 1912
 |第三ミラノ四 1920
 | オールファスト 1932
 |  スズマサコ 1943
 |   スズミドリ 1960
 |    メリーサン 1972
 |     シローメリー 1986 → ボスイモン 2008(牡、地方12勝)
 |龍玉 1928
   安俊 1939
    ムールドカール 1947
     ミスカツクモ 1953
      ハナカイドウ 1967
       ヤグララナー 1979
        ドラゴンルーブル 1990
         ビッグティアラ 2001 → カブヤマジョオー 2011(牝、地方6勝)、タイムオブレディー 2013(牝、地方3勝)
          トウケイルーブル 2009 → トウケイドラゴン 2013(牡、中央未勝利)

現役競走馬:4頭
現役繁殖牝馬:2頭(ビッグティアラ、トウケイルーブル
ほか、ビッグティアラの産駒に2014年生まれ(牝)、2015年生まれ(牝)、トウケイルーブルの産駒に2014年生まれ(牝)、2015年生まれ(牡)がいる。今年2016年も、2頭とも出産予定の模様。


第二ミラの子孫は、2014年までフナツという牝馬笠松で走っていたものの、同馬の引退により断絶してしまったようです。現在は第三ミラの末裔で、ヤグラステラの半妹ドラゴンルーブルの子孫だけが繁殖牝馬として残っており、その血を次代に繋げるべく奮闘している状況です。ただ、2頭とも毎年順調に産駒を残しており、特にトウケイルーブルはまだ初子がデビューしたばかりで非常に若く、滅亡寸前というのは適切でないかもしれません。再びミラの名を競馬界に轟かせるような産駒の出現を期待したいところです。現3歳で佐賀所属のタイムオブレディーは今月、重賞・花吹雪賞で3着と好走しており、近いうちのタイトル獲得も夢でないかもしれません。

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全3回で取り上げた以外のサラ系一族には、血統不明の輸入馬以外にも19世紀のアラブ種に遡る系統や、日本の在来種の血を引く系統などが残っていましたが、20世紀末から2000年代にかけて次々と途絶えてしまったようです。(サラ系自体は、アングロアラブとの混血や、白毛ハクホウクンの血を引く馬などが新たに登場しており、いなくなっているわけではありません。)血の淘汰が進んだ現代においては、ファミリーナンバーが空白の競走馬自体、世界的に見ても珍しいのではないでしょうか(詳しい方いたらぜひ教えてください)。ここまで衰退してしまった系統が再び大舞台に姿を見せるのは、現実的に考えればまずあり得ないのだと思いますが、いつの日か予想もしなかった大逆転を起こしてくれることを夢見つつ、これからも見守っていきたいと思います。