KTF(旧)

オーストラリア生まれの Keep The Faith (※引退)など、海外で走るサンデーサイレンス産駒の情報を記録していました。

種付け頭数をウイニングポストの血統支配率風に表す(豪州編・前)

前回の英・愛編から3ヶ月経ってしまいましたが、ようやくオーストラリア編ができたので公開します。


【集計方法】
Australian Stud Book(http://www.studbook.org.au/)の「Stallions standing in Australia」で参照できる、2014年の供用種牡馬一覧から1頭ずつ種付け数と血統を確認しました(2015年の一覧もあるが、現時点では種付け数のデータが完全ではない)。対象となった種牡馬は617頭、種付け数の合計は19,200頭でした。種付け数の1/4弱は、サイト上でシャトルスタリオンとして扱われている種牡馬による数字です(ここで言うシャトルには北半球→南半球と南半球→北半球の両方が含まれる)。ただし、シャトルされる種牡馬は流行の父系が幅広くラインナップされており、集計結果に大きな影響が出てはいないようです(=シャトルスタリオンを除外しても勢力分布に変わりはない)。
なお、Australian Stud Bookで個々の馬情報を見るには年間でAUS$37.95(約3,200円)を払う必要があります(10年位前は無料でしたが・・・いつから有料になったかは知りません)。ほかに調べる手段も無さそうなので払いました。サイトの内容は、JBISサーチとジャパン・スタッドブック・インターナショナルがセットになったようなものだと考えていただければと思います。


【結果】


全体的には英・愛と似た傾向ですが、「デインヒルによる寡占がより顕著」、ただし「生産頭数が多い分、系統のバリエーションは豊富」という二面性が見られるのが特徴と言えます。「全体の2/3がノーザンダンサーで、うち半分がデインヒル」これって十分異常なんだと思うのですが、日本や英・愛の結果を見てからだとさほど違和感なく受け入れてしまいそうです。一方で、他地域では途絶えてしまった系統にもそれなりの頭数を集めている種牡馬がおり、マイナー父系ファンを喜ばせてくれそうです。系統ごとに見ていきます。

<ダンジグ系>
1頭ずつ血統を調べていた時はとにかくデインヒルばかりで、もしかして50%超えてるんじゃないかと錯覚するくらいでした。実際は35.9%だったので日本におけるサンデーサイレンスとほぼ同じくらい。デインヒル系の中ではRedoute's Choiceの勢力が圧倒的で、50頭以上の後継種牡馬がいます。欧州でも産駒が活躍しているFastnet RockやExceed and Excelがそれに続きますが、Redoute's Choiceからは大きく水を開けられています。非デインヒルの系統で目立つのはペルジノ(サドラーズウェルズ・フェアリーキングの半弟)で、安田記念にも出走したTesta Rossaから複数の後継種牡馬が出ていました。

ノーザンダンサー系>
フェアリーキングの後継として大成功したEncosta de Lagoには20頭近い後継種牡馬がいました。トライマイベスト系のWritten Tycoonはラストタイクーンの孫にあたります。つい先日ゴールデンスリッパー勝ち馬のCapitalistが出たばかり。世界的な退潮が心配されるニジンスキー系ですが、豪州で生き残っているのはほぼロイヤルアカデミーIIの子孫だけ。ただBel Esprit・Mosheの親子は100頭以上の牝馬を集める人気種牡馬のようで、Black Caviarに続く大物の登場が期待されるところです。

ヘイルトゥリーズン系>
Halo〜Southern Haloの系統とRoberto〜Red Ransomの系統にほぼ二分されている状況。サンデーサイレンス系は直子が多数シャトルされていた時代が過ぎ、現在供用されているのは3頭、G1馬Trast in a Gustを出したKeep the Faithも2014年の種付け数は39頭と今ひとつ振るいません。先日リアルインパクトシャトルが発表され、これで再び勢いがつくか注目です。

ミスタープロスペクター系>
オーストラリアの重賞結果を見ているとStreet Cry産駒の活躍が目立ちますが、2014年のシーズン前に死亡してしまっているので本集計結果には反映されていません。後継のStreet Bossがシャトル供用され、父同様人気を集めているようです。

サーゲイロード系>
オセアニアが誇るZabeel〜Octagonal〜Lonhroの父系。調べてませんが、父Redoute's Choice、母父Zabeelみたいな血統の馬がオーストラリアには溢れかえっていそうです。

ナスルーラ系>
シャトル種牡馬を除くと人気のある種牡馬はあまりいません。若干ブラッシンググルーム系が多いかな?という程度。特筆すべきは、Nasrullah〜Rego〜Baguette〜Crown Jester〜Rory's Jesterと、オーストラリア土着の父系が細々と続いていることで、これはぜひ残ってほしいところです。Rory's Jesterの血はビービーガルダンの母系などに見られますが、おそらく日本にはほとんど入っていない系統だと思います。

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長くなりそうなので残りの系統は後半に回します。マイナー父系ファンなら見逃せない注目種牡馬が結構いますのでどうぞご期待ください。